SNSは、もはやマーケティングにあたって無視できない存在となっています。とはいえ、SNSを適切に運用できるスタッフが社内にいない企業も多く、そのような企業の多くに運用代行が活用されています。SNS運用代行を委託・受託する際は、無用なトラブルを避けるため、きちんと契約書を取り交わしておきましょう。
では、SNS運用代行の契約書には、どのような内容を記載すれば良いのでしょうか?また、SNS運用代行の契約書は、どのような方法で作成すれば良いのでしょうか?今回は、SNS運用代行契約書の概要や記載すべき主な条項、SNS運用代行契約書の作成方法、契約書の作成にあたって弁護士にサポートを受けるメリットなどについてくわしく解説します。
なお、当サイト「エンタメ弁護士.com」は弁護士・弁理士である伊藤海が立ち上げた専門家チームであり、チームの全員がエンタメ法務に特化しています。SNS運用代行契約書について相談できる専門家をお探しの際は、エンタメ弁護士.comまでお気軽にご連絡ください。
SNS運用代行の契約書とは?
SNS運用代行の契約書とは、SNSの運用代行を委託・受託する際に取り交わす契約書です。SNS運用代行とは、企業などのSNSを外部の専門企業やフリーランスに委託することを指し、具体的な業務内容はSNS運用代行を担う企業やプランによって異なります。
たとえば、事前に定めた頻度でSNSに記事を投稿するだけの場合もあれば、広告の運用やコメント・DM返信などのコミュニケーション、運用実績レポートの提示などまでを担う場合もあるでしょう。そのため、業務内容に齟齬が生じないよう、契約書では業務範囲などを明確に定めておく必要があります。
SNS運用代行契約書の具体的な内容でお困りの際は、エンタメ弁護士.comまでお気軽にご相談ください。お困りごとの内容に応じた最適なサポート内容を提案します。
SNS運用代行の契約書の盛り込むべき主な内容・ポイント
SNS運用代行の契約書には、どのような条項を盛り込めば良いのでしょうか?ここでは、主な条項とポイントを解説します。
- 具体的な業務内容
- 投稿前の確認
- 契約期間・更新
- 報酬
- 知的財産権の帰属
- 再委託
- 禁止事項
- 契約解除・損害賠償
なお、ここで紹介する条項は特に重要な条項の一部であり、契約内容や状況に応じてその他の条項も必要です。SNS運用代行の契約書の作成でお困りの際は、エンタメ弁護士.comまでお気軽にご相談ください。
具体的な業務内容
先ほど解説したように、一口に「SNS運用代行」といっても、具体的な業務内容はさまざまです。SNS運用代行として担う業務としては主に次のものが想定されるものの、これらのうち一部だけの業務を提供する場合もあるでしょう。
- SNS投稿用のコンテンツ制作・投稿
- SNS広告の運用
- コメントの返信・DMの返信などフォロワーなどとのコミュニケーション
- 分析レポートの提示
実際に担う業務内容に齟齬が生じないよう、受託する業務の内容を明確に定めます。また、コンテンツを投稿する頻度やコメントへの返信頻度などを定める場合にも、契約書にその旨を明記しましょう。
投稿前の確認
SNS運用代行は、投稿内容を代行事業者にある程度任せる場合もある一方で、投稿前に委託者の確認を求める場合もあります。特に、広告記事の投稿などでは事前確認を要するとすることが多いでしょう。
投稿前の確認を必要とする場合には、その旨と併せて、確認を受ける方法や一定期間内に合否の返答がない場合の対応について定めます。さらに、確認の結果修正対応が必要となる場合、その修正対応の報酬(通常の報酬内での対応であるのか、修正が一定回数を超える場合は別料金となるのかなど)についても定めておくと、トラブルの抑止につながります。
契約期間・更新
SNS運用代行は数回程度の投稿で結果が出るものではないことから、契約を一定期間継続させることが一般的です。そのため、契約書ではSNS運用代行の契約期間を定めておきましょう。契約期間はさまざまであるものの、半年や1年程度とすることが多いようです。
また、契約期間満了後の更新についても定めます。更新は、たとえば「契約期間満了日の30日前までに、両当事者がいずれも異議を申し出ない限り更新する」など契約更新を原則とする場合のほか、「契約期間満了日の30日前までに両者が合意した場合に限り、同内容で更新する」など更新しないことを前提としたうえで更新方法を定める場合などがあります。
報酬
SNS運用代行の契約書では、報酬額や計算方法について明確に定めます。SNS運用代行の報酬には、主に次の3つのパターンが見られます。
- 固定報酬制:毎月など一定期間ごとに、決まった額の報酬を支払う方法
- 変動報酬制:フォロワー数や「いいね」数などに、一定の数値を乗じて報酬を算定する方法
- 固定報酬+変動報酬制:固定報酬制に一定の変動報酬額を加算する方法
いずれの方法をとる場合であっても、誰が見ても同じ金額が算定できるよう、金額や計算の基準とする数値などを明確に定めましょう。併せて、報酬支払いの方法や支払い期日などについても明記します。
知的財産権の帰属
SNS運用代行では、運用代行事業者側がSNSに投稿するコンテンツ(文字や画像)を制作することが多いでしょう。認識の齟齬により後のトラブルの原因とならないよう、契約書では、SNS運用代行業務の遂行に伴って制作したコンテンツの著作権の帰属を定めます。
知的財産権は委託者に帰属すると定める場合もある一方で、受託者(SNS運用代行事業者)としたうえで委託者の一定範囲で使用を許諾する形をとることもあります。
再委託
SNS運用代行は民法上の「準委任契約」に該当する場合が多く、準委任契約は原則として再委託(下請けに出すこと)ができません。そのため、SNS運用代行業務の一部を下請けに出す可能性があるのであれば、契約書に再委託ができる旨を明記しておきましょう。
再委託はSNS代行事業者側の責任で無制限に可能とする場合もある一方で、事前に発注者の承諾を得た場合のみ可能とする場合もあります。また、再委託をしない場合であっても、再委託をしない旨を確認の意味で契約書に記載しておくと、齟齬が生じづらくなります。
禁止事項
SNS運用代行の契約書では、禁止事項を定めておくと良いでしょう。禁止事項を定めることで、その条項に違反した場合の契約解除や損害賠償請求がスムーズとなるためです。
特に、法令違反とまでは言えず他の契約条項にも反しないようなものであれば、記載のない限り契約解除や損害賠償請求は困難であるため、明確に定めておきましょう。
契約解除・損害賠償
契約違反などの問題が生じた場合に備え、SNS運用代行の契約書には契約解除について定めます。
前提として、契約書に定めていなかったとしても、相手方に債務不履行があれば契約の解除は可能です。ただし、民法の規定だけでは解除の具体的な方法などは不明確であり、これが原因でトラブルに発展しかねません。
そこで、契約書では「相手方が本契約に違反し、相手方に対して違反を是正するよう書面で催告したにもかかわらず催告から〇日を経過しても違反が是正されない場合には、契約の解除をすることができる」など、解除の方法を明確に定めておくとよいでしょう。
また、契約解除をする場合であっても、損害が生じている場合は相手方への損害賠償請求もできる旨の規定も入れることで、契約解除と損害賠償請求の両方の措置がとれることが明確となります。SNS運用代行に関する損害では損害額の算定や因果関係の証明が難しい場合も多いと考えられるため、損害賠償の予定額を定めることも検討すると良いでしょう。
SNS運用代行契約書の作成方法
SNS運用代行の契約書は、どのように作成すれば良いのでしょうか?ここでは、主な作成方法を2つ解説します。
- ひな型をもとに自社で作成する
- 弁護士に作成を依頼する
ひな型をもとに自社で作成する
1つ目は、ひな型を元にして自社で作成する方法です。
インターネットや書籍などを探せば、SNS運用代行の契約書のひな型は見つかることでしょう。前提として、このひな型をそのまま活用することはおすすめできません。なぜなら、ひな型はあくまでもある特定のケースを前提とした一例であり、これが実際の契約実態に即しているとは限らないためです。
そのため、ひな型をもとにするとしても、これを契約実態に合う形に適宜修正する必要があります。ひな型をもとに自社で作成する際は、各条項を契約実態に合うように十分検討するとともに、法令違反がないことや条項同士に矛盾がないことなどに注意を払うべきでしょう。
弁護士に作成を依頼する
2つ目は、弁護士に作成を依頼する方法です。
弁護士に作成を依頼することで、契約実態に合った的確なSNS運用代行契約書の作成が可能となります。弁護士に依頼する主なメリットは、次でくわしく解説します。
なお、エンタメ弁護士.comはエンタメ法務に特化した専門家によるチームであり、SNS運用代行の契約書についても豊富なサポート実績を有しています。SNS運用代行契約書の作成やレビューについてサポートを受ける弁護士をお探しの際は、エンタメ弁護士.comまでお気軽にお問い合わせください。
SNS運用代行の契約書作成を弁護士に依頼する主なメリット
SNS運用代行の契約書作成を弁護士に依頼することには、多くのメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
- 実態に即した的確な契約書が作成できる
- 作成の手間を軽減できる
- トラブル発生時の解決がスムーズとなりやすい
実態に即した的確な契約書が作成できる
実態に即していない契約書を締結することは、トラブルの原因となりかねません。たとえば、本来は運用分析レポートの提示まではしない予定であってにもかかわらず、よく内容を確認せずに流用したひな型には業務内容として「運用分析レポートの作成・提示」が含まれていた場合、契約書の記載に従って運用分析レポートを提示するよう求められる可能性が高いでしょう。
弁護士のサポートを受けることで契約実態に合った的確な契約書の作成が実現でき、トラブルの抑止につながります。
作成の手間を軽減できる
ひな型をベースにするとしても、契約書の作成を自社で行おうとすれば、相当な手間と時間を要します。契約書の各条項が契約実態に即しているか確認する必要があるほか、法令違反がないか、必要な条項に漏れはないか、条項同士に矛盾はないかなど細かく確認する必要があるためです。
弁護士に契約書の作成を任せることで、自社で当日手間や時間を最小限に抑えられます。
トラブル発生時の解決がスムーズとなりやすい
弁護士のSNS運用代行契約書の作成を依頼する最大のメリットは、トラブル発生時の解決がスムーズになりやすいことです。
弁護士はトラブルが発生してから関与することも少なくありません。その中で、SNS運用代行に関して起きやすいトラブル類型や、契約書に盛り込んでおくことでトラブル解決がスムーズになりやすい条項などを熟知しています。
これらの経験や知識を活かして契約書の作成支援をすることで、トラブル発生から「逆算」をした契約書の作成が実現できます。
SNS運用代行の契約書に関するよくある質問
続いて、SNS運用代行の契約書に関するよくある質問とその回答を2つ紹介します。
SNS運用代行の契約書はどちらが作成する?
SNS運用代行の契約書の原案は当事者のどちらが作成しても良いものの、一般的には、SNS運用代行を事業として展開する事業者が作成することが多いでしょう。
ただし、SNS運用代行を行う事業者がフリーランスであるなどビジネス展開に不慣れである場合には、運用代行を依頼する側が契約書原案を作成することもあります。
SNS運用代行の契約書はひな型をそのまま使って良い?
SNS運用代行の契約書作成にあたって、ひな型をそのまま流用することは避けるべきです。なぜなら、先ほど解説したようにひな型はあくまでも一例でしかなく、契約実態に即していない可能性が高いためです。
SNS運用代行契約書の作成でお困りの際は、ひな型をそのまま使うのではなく、エンタメ弁護士.comにご相談ください。
SNS運用代行の契約書はエンタメ弁護士.comにお任せください
SNS運用代行の契約書の作成やレビューは、エンタメ弁護士.comにお任せください。エンタメ弁護士.comは弁護士・弁理士が立ち上げた専門家チームであり、チームの全員がエンタメ法務に特化しています。最後に、エンタメ弁護士.comの主な特長を3つ紹介します。
- エンタメ法務に特化している
- 必要に応じてチーム制で対応する
- 英文契約書にも対応している
エンタメ法務に特化している
エンタメ弁護士.comは、チームの全員がエンタメ法務に特化しています。業界に関するサポート実績が豊富であり、SNS運用代行の契約についても安心してご相談いただけます。
必要に応じてチーム制で対応する
専門家はそれぞれ得意とする分野が異なるほか、保有資格によって取り扱える業務範囲にも違いがあります。そのため、困りごとが生じた際、誰に相談すべきか分からないことも多いでしょう。
エンタメ弁護士.comでは困りごとの内やニーズに応じて最適な専門家が対応するため、相談先に迷う必要はありません。また、複数の専門家による対応が必要となる場合には、必要に応じて専門家がチーム制で対応します。
英文契約書にも対応している
エンタメ弁護士.comは、英文契約書にも対応しています。そのため、SNS運用代行に関して海外の企業や個人と契約を締結する必要が生じた際にも、一貫した対応が実現できます。
まとめ
SNS運用代行の契約書に記載すべき条項を紹介するとともに、SNS運用代行の契約書の作成方法や、契約書の作成を弁護士に依頼するメリットなどを解説しました。
SNS運用代行の契約書には、具体的な業務内容のほか、報酬額や知的財産権の帰属、禁止事項、契約解除などについて定めます。契約実態に即した契約書を取り交わすことでトラブルの抑止につながるほか、万が一トラブルが発生した際にもスムーズな解決がしやすくなるでしょう。
しかし、SNS運用代行の契約書にひな型をそのまま流用するなど契約書に問題があれば、むしろトラブルの原因となりかねません。無用なトラブルを避けるため、SNS運用代行の契約書は弁護士に相談して作成することをおすすめします。
エンタメ弁護士.comはエンタメ法務に特化した専門家チームであり、SNS運用代行の契約書の作成・レビューについても豊富なサポート実績を有しています。SNS運用代行の契約書について相談できる専門家をお探しの際は、エンタメ弁護士.comまでお気軽にお問い合わせください。
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