【2025】マネジメント契約書とは?盛り込むべき条項と作成方法・ポイントを弁護士が解説

マネジメント契約書とは?盛り込むべき条項と作成方法・ポイントを弁護士が解説

芸能事務所にタレント等が所属する際には、マネジメント契約書を取り交わすべきです。明文化されたマネジメント契約書がなければ、双方が負う義務の内容について齟齬が生じてトラブルの原因となりかねないためです。また、相手が問題行動を起こした際にもスムーズな解決ができず、問題が長期化するおそれも生じます。

では、マネジメント契約書にはどのような条項を盛り込めば良いのでしょうか?また、マネジメント契約書はどのような方法で作成すれば良いのでしょうか?今回は、マネジメント契約書の概要やマネジメント契約書に盛り込むべき条項、マネジメント契約書の作成方法などについて弁護士がくわしく解説します。

なお、当サイト(エンタメ弁護士.com)は弁護士である伊藤海が運営しており、マネジメント契約書の作成支援を行っています。マネジメント契約書についても相談できる、エンタメ業界に特化した専門家をお探しの際は、エンタメ弁護士.comまでお気軽にお問い合わせください。

マネジメント契約とは

マネジメント契約とは、タレントやアーティストなどが芸能事務所に所属する際に、事務所との間で取り交わす契約のことです。

一口に「マネジメント契約」といっても、その具体的な内容は事務所や所属形態などによって異なります。ただし、一般的には事務所にタレントなどが独占的なマネジメント権を付与(スケジュール管理やプロモーション、仕事獲得のための営業活動などを一任)し、タレント等は所属事務所から報酬を受け取る内容とすることが多いでしょう。

マネジメント契約は1社専属で締結することが多く、事務所に無断でタレントなどが仕事を獲得したり、並行して他の事務所に所属したりすることは禁じられることが一般的です。

エージェント契約との違い

大手芸能事務所のいわゆる「闇営業」問題を皮切りに、エージェント契約が注目されました。

エージェント契約とは、マネジメント契約のようにスケジュール管理などを事務所に一任するのではなく、仕事獲得のための営業活動と報酬交渉だけを事務所に任せる契約形態です。事務所は、獲得した仕事の報酬から一定割合を受け取る内容とすることが多いでしょう。

エージェント契約の場合にはタレント等が自分で仕事を獲得することも禁じられないことが一般的です。自由な契約形態であり、タレント等にとってメリットが大きいように見えるものの、スケジュール管理やトラブル発生時の対応などは原則として自己の責任として行う必要があり、自己責任の側面が強い契約形態であるといえます。

雇用契約との違い

雇用契約とは、労働者が会社などの使用者に対して労働を提供し、使用者が報酬の支払いを約束する契約です。一般的な会社員などは、勤務先の企業とこの雇用契約を締結しています。雇用契約の場合は労働基準法などが適用され、これに定められた最低賃金や労働時間などの規定を遵守する必要が生じます。

マネジメント契約は民法上の典型契約ではなく、その内容によって「委任契約」に近い場合もあれば「雇用契約」に近い場合もあります。多くのマネジメント契約は委任契約に近い内容となっており、この場合には労働基準法などは適用されないこととなります。また、会社が一方的な指揮命令に従わせることはできず、タレント等が遂行すべき内容は契約によって定められた内容に限られます。

とはいえ、契約実態は契約書のタイトルだけで判断されるわけではありません。契約書のタイトルが「マネジメント契約書」であったとしても、その実態が労働者であると判断されれば、労働基準法などが適用される余地があります。

マネジメント契約書に盛り込むべき内容

マネジメント契約書には、どのような内容を盛り込めば良いのでしょうか?ここでは、主な内容とそれぞれのポイントを解説します。

  • マネジメント業務の内容
  • 契約期間と更新
  • 報酬
  • 経費の負担
  • 知的財産権の帰属
  • 禁止事項
  • 違約金

マネジメント業務の内容

マネジメント契約書では、事務所が担う「マネジメント業務」の内容を記載します。これが、この契約によって事務所が負う義務であり権利ともなるため、実際に行うマネジメント業務の内容を踏まえてできるだけ具体的に記載しましょう。

契約期間と更新

マネジメント契約書では、契約期間について定めます。一般的には、1年から3年程度の期間としたうえで、更新方法を定めることが多いでしょう。

10年を超えるなど契約期間をあまりにも長期に設定すれば訴訟によって無効とされるおそれがあります。また、あまり長期になればタレント等の活躍ぶりも未知数となり、長期の契約で縛ることは事務所にとってもリスクとなります。

報酬

マネジメント契約書では、タレントに支払う報酬について定めます。マネジメント契約における報酬は、次のいずれかとされることが多いでしょう。

  • 完全歩合制:仕事によって得た報酬の一定割合のみを支払う報酬形態
  • 定額報酬制:仕事によって得た報酬や仕事をした時間などに関わらず、固定額を支払う報酬形態
  • 定額報酬+歩合制:定額の報酬に加え、仕事によって得た報酬の一定割合のみを支払う報酬形態

報酬は、マネジメント契約においてトラブルとなりやすいポイントの1つです。そのため、契約締結に際しては齟齬が生じないよう双方で十分にすり合わせをしたうえで定めるべきでしょう。

経費の負担

タレント等が活動をするにあたっては、交通費や衣装代、レッスン代などの経費がかかります。マネジメント契約書では、この経費をどちらが負担すべきかを定めます。

知的財産権の帰属

タレント等が活動するにあたっては、多くの知的財産が発生します。知的財産権がそのままタレント等に帰属すれば権利処理が複雑となりやすいため、マネジメント契約書によって、活動により生じた知的財産権は事務所に帰属する旨を定めることが多いでしょう。

併せて、二次利用が生じた際の収益の分配などについても定めます。

禁止事項

マネジメント契約書では、事務所としてタレント等に禁止すべき事項を定めることが一般的です。たとえば、反社会的勢力と関与することや他の会社と重ねてマネジメント契約を締結すること、自社の許可なく自身で仕事を獲得することなどが想定されます。

違約金

トラブル発生時に備えて、違約金の額を定めることも検討すると良いでしょう。事務所としては、せっかくコストをかけてタレント等を育成したにもかかわらず、人気が出始めた途端に移籍されたり独立されたりする事態は避けたいことかと思います。そこで、違約金を定めて投下資本の回収を目指すこととなります。

なお、法外な違約金を定めた場合には、訴訟にまで発展した結果、違約金の定めが無効化されるおそれもあります。そのため、業界実態にくわしい弁護士へ相談したうえで、慎重に条項を設定すべきでしょう。

マネジメント契約書の作成でお困りの際は、エンタメ弁護士.comまでご相談ください。

マネジメント契約書の作成方法

マネジメント契約書の作成には、主に2つの方法があります。それぞれ、概要を解説します。

  • テンプレートを活用する
  • 弁護士に依頼する

テンプレートを活用する

1つ目は、テンプレートを活用して自社で作成する方法です。

インターネットで検索をしたり書籍を探したりすれば、マネジメント契約書のテンプレートは見つかるでしょう。しかし、テンプレートはあくまでも契約書の一例でしかなく、そのままの状態で自社の契約実態に即している可能性はほとんどありません。そのため、自社に合わない条項を削ったり変更したり、条項を追加したりする必要が生じます。

とはいえ、テンプレートを適切に改変するには法令への理解や取引に関するバランス感覚などが不可欠であり、容易なものではありません。安易にテンプレートを改変すると、条項間の辻褄が合わなくなったり無効な条項を入れてしまったりして、トラブルの原因となるおそれが生じます。

そのため、テンプレートをもとに自社でマネジメント契約書を作成するのは、担当する従業員に法令や訴訟に関する十分な理解がある場合に限るべきでしょう。

弁護士に依頼する

2つ目は、弁護士に依頼して作成してもらう方法です。

マネジメント契約書の作成を弁護士に依頼すれば、費用は掛かります。しかし、弁護士に依頼するメリットは小さいものではありません。マネジメント契約書の作成を弁護士に依頼する主なメリットは、次でくわしく解説します。

マネジメント契約書の作成で弁護士のサポートを受けるメリット

マネジメント契約書の作成は、弁護士に依頼して行うのがおすすめです。ここでは、弁護士に依頼する主なメリットを4つ解説します。

  • 契約実態に合った契約書が作成できる
  • 自社に有利な条項を検討できる
  • 契約条件などについて相談できる
  • トラブル発生などの「出口」から逆算して条項を検討できる

なお、エンタメ弁護士.comでは、実績豊富な弁護士によるマネジメント契約書のレビューや作成支援が可能です。マネジメント契約書の作成をご希望の際は、エンタメ弁護士.comまでお気軽にご相談ください。

契約実態に合った契約書が作成できる

1つ目は、契約の実態に合った的確な契約書が作成できることです。

契約書の内容が実際の当事者の認識と異なる場合、これが原因でトラブルが起きる可能性があるでしょう。たとえば、テンプレートをそのまま使用した結果、事務所側のマネジメント内容として「レッスンの実施」などが入っていた場合、実際には事務所側がレッスンを提供しなかった際に相手方からレッスンの実施を求められてトラブルとなる場合などが想定されます。また、報酬の支払いスパンの記載が実際とは異なっていた場合、これがもとでトラブルとなる可能性もあります。

マネジメント契約書の作成を弁護士に依頼する場合には、契約の内容を丁寧にヒアリングしてもらったうえで、各条項を検討してもらえます。そのため、契約実態に即した契約書が作成でき、無用なトラブルの予防につながります。

自社に有利な条項を検討できる

2つ目は、自社にとって有利な条項を検討できることです。

契約書の「正解」は1つではありません。どちらの側に立つのかによって、最適な条項は異なることが一般的です。

しかし、テンプレートではそのような点までは考慮されていないことが多いでしょう。その結果、知らず知らずのうちに自社にとって不利な内容で契約を締結するリスクがあります。また、あからさまに自社に有利な条項ばかりを盛り込めば相手が不信感を持って契約自体が流れたり、場合によってはSNS上で「炎上」したりするリスクも生じます。

マネジメント契約書の作成を弁護士に依頼する場合には、自社に有利な条項を全体のバランスにも配慮しつつ盛り込みやすくなります。

契約条件などについて相談できる

3つ目は、契約条件などについて相談できることです。

弁護士は単に書類を整えるだけではなく、契約内容に関する具体的な相談も可能です。弁護士のサポートを受けることで、契約に関する具体的な状況や自社が達成したい目的、自社がその契約にあたって避けたいと考える事態などを踏まえ、適切な契約条項の検討が可能となります。

トラブル発生などの「出口」から逆算して条項を検討できる

4つ目は、トラブル発生などの「出口」から逆算し、適切な条項を検討できることです。

契約内容がスムーズに遂行されている限り、契約書の内容をつぶさに確認することはないかもしれません。しかし、契約書が真価を発揮するのは、契約に関してトラブルが生じたときです。そのため、想定されるトラブルから「逆算」して自社にとって最善の「出口」を定め、これを実現するための条項を検討すべきでしょう。

弁護士はトラブル発生時から関与することも多く、マネジメント契約に関して生じやすいトラブルを熟知しています。そのため、マネジメント契約書に作成にあたって弁護士のサポートを受けることで、起こりやすいトラブルから「逆算」をした的確な条項を盛り込むことが可能となります。

マネジメント契約書の作成はエンタメ弁護士.comにお任せください

マネジメント契約書の作成は、エンタメ弁護士.comにお任せください。エンタメ弁護士.comとは、弁護士かつ弁理士である伊藤海が、エンターテイメント法務に特化した士業に声を掛けて実現した専門家チームです。最後に、エンタメ弁護士.comの主な特長を3つ紹介します。

  • エンタメ法務に特化している
  • 困りごとの内容に応じて弁護士・弁理士・行政書士等がチームで対応する
  • 英文契約書にも対応している

エンタメ法務に特化している

エンターテイメント業界にはやや特殊な取引慣例なども存在し、専門家にサポートを依頼する際には、まず業界の慣例などを伝えることから始める必要があるでしょう。また、専門家のエンタメ業界への理解が浅い場合にはアドバイスの内容が業界実態に合わず、理想論にとどまる場合もあると思います。

エンタメ弁護士.comはすべての専門家がエンタメ法務に特化しているため、実態に即したより的確なサポートが実現できます。

困りごとの内容に応じて弁護士・弁理士・行政書士等がチームで対応する

エンタメ弁護士.comは、複数の士業から構成されています。主なメンバーとそれぞれの主な得意分野は、次のとおりです。

  • 弁護士兼弁理士(伊藤海):カルチャー・エンターテインメント法務、ファッション・アパレル法務、テクノロジー法務、知的財産権法、ライセンス取引、商標権マネジメント等
  • 弁護士:スタートアップ法務、AI・データ等の先端テクノロジー法務(エンタメ掛け合わせサービスを含む)、広告・キャンペーン審査、資金調達、SO発行、M&A、IPO準備、規約・プラポリ作成などその他日常企業法務等
  • 社会保険労務士:労務相談、労働保険・社会保険手続き代行、就業規則作成、人事労務管理クラウドサービス導入支援、クリエイティブ職の評価制度導入支援、エンターテインメント健康保険組合加入サポート、芸能従事者の労災特別加入サポート
  • 行政書士:芸術エンタメ補助金申請、動画制作補助金、芸術エンタメ法人設立、任意団体設立、芸術団体経営コンサルティング、個人クリエイターアーティスト開業サポート
  • 司法書士:会社法人設立、各種変更登記(役員変更、本店移転、資本金変更など)、定款の見直し、株主総会・取締役会議事録作成等
  • 税理士・公認会計士:会計監査、内部統制監査、内部統制構築支援、経理コンサルティング、エンタメ・クリエイター業の税務顧問、確定申告書作成、税務調査立会、クラウド会計導入支援、法人成りシミュレーション等

各士業には専門とする分野が存在し、困りごとの内容が複数士業の分野にまたがることも少なくありません。エンタメ弁護士.comでは困りごとの内容に応じて適切な専門家がチーム制で対応するため、「どの士業に相談すべきか」と迷うことに時間を費やしたり、専門家間をたらい回しにされたりする心配がいりません。

英文契約書にも対応している

エンターテイメント業界においては、海外の企業や個人と契約を締結すべき場面も少なくないでしょう。エンタメ弁護士.comでは英文の契約書にも対応しているため、海外との契約に際しても一貫したリーガルサポートが可能です。

まとめ

マネジメント契約書の概要やマネジメント契約書の主な条項、マネジメント契約書の作成方法などを解説しました。

マネジメント契約書は、タレントなどが事務所に所属する際に取り交わす契約書です。マネジメント契約書の効力は長期間に及ぶことも多いため、後のトラブルの原因とならないよう、マネジメント業務の内容や禁止事項、違約金などについて漏れなく定めておきましょう。

マネジメント契約書の作成はテンプレートを自社で切り貼りするのではなく、エンタメ業界にくわしい弁護士のサポートを受けて作成するようにしてください。弁護士のサポートを受けることで契約実態に合った的確な契約書の作成が可能となります。また、トラブル発生時から「逆算」した条項を盛り込むことで、万が一トラブルが発生した際にも円滑かつ自社に有利な解決がはかりやすくなるでしょう。

エンタメ弁護士.comはエンタメ業界に特化した専門家チームであり、マネジメント契約書の作成にも対応しています。マネジメント契約書の作成をご希望の際は、エンタメ弁護士.comまでまずはお気軽にご相談ください。