【2025】制作委員会方式で締結される「共同制作契約」とは?定めるべき内容を弁護士が解説

制作委員会方式で締結される「共同制作契約」とは?定めるべき内容を弁護士が解説

アニメや映画などのコンテンツ制作をするにあたって、制作委員会方式が採られることがあります。制作委員会方式では複数の企業が関与するため、共同制作契約を締結することが原則です。(なお、近年は、この制作委員会方式に膠着的な運用に異議を唱えるクリエイターさんや監督さんも増えてきている印象です。別のスキームについてはまた別の機会にお話しできればと思います。)

では、制作委員会方式で締結される共同制作契約とは、どのような契約なのでしょうか?また、共同制作契約では、どのような内容を定める必要があるのでしょうか?今回は、制作委員会方式の概要と共同制作契約で定めるべき事項などについて、弁護士がくわしく解説します。

なお、エンタメ弁護士.comは制作委員会方式にまつわる契約書の作成やレビューについて豊富な実績を有しており、安心してお任せいただけます。エンタメ弁護士.comは、弁護士・弁理士である伊藤海が立ち上げたエンタメ業界を支援する専門家チームであり、芸能・エンタメ業界に携わる企業・個人のリーガルサポートに強みを有しています。制作委員会方式に関する契約締結でお困りの際は、エンタメ弁護士.comへご相談ください。

制作委員会方式でのコンテンツ制作とは

制作委員会方式とは、アニメや映画などのコンテンツを制作したり販売したりするにあたって、複数の関係者が出資をして組成する組織体です。一般的には、民法上の任意組合に該当する場合が多いでしょう。この制作委員会方式によって行うコンテンツ制作を、「制作委員会方式でのコンテンツ制作」といいます。

出資をする関係者としては、次のものなどが挙げられます。

  • テレビ局
  • 広告代理店
  • 制作プロダクション
  • 映画会社
  • ゲーム会社

コンテンツ制作にあたってはこれらの者が「共同制作契約書」を取り交わし、具体的な役割や利益の配分方法などを定めます。関係者が多く、かつ契約期間も長期となりやすいことから、トラブル抑止のために契約内容を特に慎重に検討しなければなりません。

共同制作契約書の作成やレビューでお困りの際は、エンタメ弁護士.comまでご相談ください。

制作委員会方式によるコンテンツ制作の主な登場人物と役割

制作委員会方式によるコンテンツ制作では、さまざまな者がさまざまな役割を担います。ここでは、主な登場人物と主な役割を整理して解説します。

  • 制作委員会
  • 出資者
  • 制作プロダクション
  • コンテンツ販売先

制作委員会

制作委員会は、テレビ局や広告代理店、制作プロダクション、映画会社、ゲーム会社などが出資をして組成されます。制作委員会はコンテンツ制作の中心となる役割を担い、制作プロダクションなどにコンテンツ制作を委託して制作費を支払います。

そのうえで、テレビ局や興行会社、ゲーム会社、おもちゃ会社などにそのコンテンツの配信や販売、グッズ制作などを許諾し、ライセンス料などの支払いを受けます。これにより得た収益を、制作委員会を組成する各企業に分配します。

出資者

先ほど解説したように、制作委員会への出資者は、テレビ局や広告代理店、制作プロダクション、映画会社、ゲーム会社などです。これらは、協力して立ち上げた制作委員会に対して出資をします。その後、コンテンツのライセンスによって制作委員会が得た収益について、分配を受けます。

制作プロダクション

実際のコンテンツ制作は、制作委員会が行うのではなく、制作委員会から委託された制作プロダクションが担うことが一般的です。制作プロダクションは、制作委員会から委託されたコンテンツ制作を行い、その対価として制作費を受領します。なお、制作プロダクション自体が制作委員会の出資者として名を連ねることも珍しくありません。

コンテンツ販売先

制作委員会方式によって制作されたコンテンツは、テレビ局や興行会社などにライセンスされます。その後は、各企業がそれぞれ収益化をはかります。

たとえば、テレビ局はライセンス料を支払ってコンテンツの放映権を獲得し、スポンサーを募って広告収入を得ることとなります。また、おもちゃ会社であればライセンス料を支払ってキャラクターや商標などを使用する許諾を受け、これらを表示したおもちゃを制作・販売することで収益を上げます。

制作委員会方式ではこのように関係する企業が多く、また権利関係も複雑なものとなりがちです。それぞれの役割(権利義務)やコンテンツの権利関係を適切に処理するため、制作委員会方式でのコンテンツ制作をご検討の際は、エンタメ弁護士.comまでご相談ください。

制作委員会方式で締結される共同制作契約で定めるべき主な内容

制作委員会方式ではさまざまな企業が関与するうえ、動くお金も小さなものではありません。そのため、制作委員会を組成する段階で共同制作契約を締結し、各企業の権利義務などを明確にしておくべきでしょう。ここでは、制作委員会方式の共同制作契約で定めるべき主な内容を解説します。

  • 各出資者による出資方法
  • 幹事会社
  • 知的財産権の帰属
  • 制作費の負担
  • 損益の分配

なお、ここで解説するのは一部であり、実際には各当事者が担う役割や状況、コンテンツの特性などに応じてさまざまな条項を検討すべきです。制作委員会方式の契約について相談できる弁護士をお探しの際は、エンタメ弁護士.comまでお問い合わせください。

各出資者による出資方法

共同制作契約では、各出資者による出資方法や出資の内容を定めます。

制作委員会方式への出資は金銭で行う場合のほか、コンテンツ制作に必要な機材やスタジオ、著作権など金銭以外を出資する場合もあります。

幹事会社

共同制作契約では、幹事会社を定めることが一般的です。幹事会社は、出資者の代表としてさまざまな対応を行います。たとえば、コンテンツ制作会社との委託契約の締結や制作費の管理、権利処理、現場の指揮監督、損益の配分、権利侵害がなされた場合における法的措置などです。

幹事会社はこのようにさまざまな役割を担うことから、出資への配当とは別途、幹事手数料を定めることが一般的です。また、幹事会社は1社であることが多いものの、複数の出資者が幹事会社となる場合もあります。

知的財産権の帰属

前提として、制作委員会は民法上の組合であることから、委員会名義で著作権などの資産を保有することはできません。そのため、コンテンツの著作権などは各出資者による共有とすることが一般的です。

共同制作契約では、著作権などの知的財産権の帰属について定めます。

制作費の負担

制作委員方式の場合、制作費ははじめに定め、増額はしないことが原則です。しかし、想定外の事態の発生などにより、追加費用が必要となることもあります。この場合、出資者が誰も追加費用を負担しなければ、コンテンツ制作自体が頓挫するおそれがあるでしょう。

そのような事態を避けるため、共同制作契約では、万が一制作費が増額した場合の対応を定めておくことが一般的です。たとえば、追加出資をするか否かの判断方法や追加出資の仕組み、元の出資者以外から追加分の出資を募ることの可否、追加出資をせずコンテンツ制作自体を終了させる場合の対応などを定めておく必要があるでしょう。

損益の分配

制作委員会方式では、プロジェクトの損益は各出資者に分配されます。

共同制作契約では、損益の分配方法や分配額の計算方法などを定めます。

ほかにも、制作委員会方式では状況に応じてさまざまな事項を定めなければなりません。各出資者の権利義務関係を明確としてトラブルを抑止するため、共同制作契約の作成はエンタメ弁護士.comまでご相談ください。

制作委員会が関与するその他の主な契約

制作委員会方式でコンテンツ制作を行う場合、その過程でさまざまな契約を締結することとなります。ここでは、主な契約を3つ紹介します。

  • 出版社との映像化許諾契約
  • 制作会社との制作委託契約
  • 作品の二次利用に係る許諾契約

出版社との映像化許諾契約

制作委員会方式で制作しようとするコンテンツに漫画や小説などの原作がある場合、出版社から映像化の許諾を受けなければなりません。そのため、出版社との間で映像化許諾契約を締結することとなります。

映像化許諾契約では、映像化に許諾している旨や出版社に支払うライセンス料の額・計算方法、映像化にあたって遵守すべき事項、制作したコンテンツの知的財産権の取り扱いなどについて定めます。

制作会社との制作委託契約

制作委員会方式でコンテンツ制作をする場合、コンテンツは制作委員会が制作するのではなく、制作会社に委託することが一般的です。そのため、制作会社との間で制作委託契約の締結が必要となります。

制作委託契約では、コンテンツの仕様を定めるほか、委託料の金額・計算方法、コンテンツの知的財産権の帰属、納期などを定めます。

作品の二次利用に係る許諾契約

制作委員会方式によって制作したコンテンツは、各出資者に二次利用が許諾されます。そのうえで、各出資者が自社でコンテンツを活用したり、他社にライセンスをして収益を得たりします。

この際、各出資者に無制限に二次利用権が与えられるのではありません。それぞれの特性(テレビ局であれば放映権、興行会社であれば配給権など)を与えることが多いでしょう。

そこで、各出資者との間で二次利用の許諾にまつわる契約を締結することとなります。この契約では、許諾する権利の範囲を明確とすることに主眼が置かれます。

制作委員会方式で契約について弁護士のサポートを受ける主なメリット

制作委員会方式でコンテンツ制作を進めるにあたり、契約について弁護士のサポートを受けることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを6つ解説します。

  • 各関係者と取り交わす契約について助言が受けられる
  • 実態に合った的確な契約書の作成が可能となる
  • 自社に有利な条項を検討しやすくなる
  • 必要に応じて交渉の場に同席してもらえる
  • トラブル発生時から「逆算」をした条項の検討が可能となる
  • トラブル発生時にスムーズかつ有利な解決がはかりやすくなる

制作委員会方式の契約についてサポートを受けられる弁護士をお探しの際は、エンタメ弁護士.comまでご相談ください。芸能・エンタメ法務に関して豊富な実績を有する弁護士が、的確な契約締結をサポートします。

各関係者と取り交わす契約について助言が受けられる

1つ目は、各関係者と取り交わす契約について助言が受けられることです。

制作委員会方式でのコンテンツ制作に関しては、さまざまな場面で契約の締結が必要となります。弁護士のサポートを受けることで、取り交わすべき契約についてアドバイスを受けることが可能となります。

実態に合った的確な契約書の作成が可能となる

2つ目は、実態に合った的確な契約書の作成が可能となることです。

制作委員会方式の共同制作契約やコンテンツ制作にあたって必要となる契約の中には、ひな型が見つかりづらいものも少なくないでしょう。また、ひな型や例があったとしても、実際の契約に即した内容へと的確に作り替えることは容易ではありません。

弁護士のサポートを受けることで、契約の実態やその契約によって実現したい事項を踏まえた的確な契約書の作成が可能となります。

自社に有利な条項を検討しやすくなる

3つ目は、自社に有利な条項を検討しやすくなることです。

契約書の最適解は、1つではありません。特に、制作委員会方式でのコンテンツ制作には関係者が多く、各関係者間の利益調整が必要となる場面も少なくないでしょう。この点を理解していなければ、自社にとって不利益な内容が盛り込まれていることに気付かないまま契約を締結してしまうかもしれません。

弁護士のサポートを受けることで、自社にとって有利な条項とするためのアドバイスが受けられ、有利な内容での契約締結を実現しやすくなります。

必要に応じて交渉の場に同席してもらえる

4つ目は、必要に応じて契約交渉の場に同席してもらえることです。

制作委員会方式の共同制作契約やその他の契約では多くの関係者が登場するため、契約交渉が難航する場合もあるでしょう。弁護士は必要に応じて、契約交渉の場に同行することも可能です。

トラブル発生時から「逆算」をした条項の検討が可能となる

5つ目は、トラブルの発生から「逆算」をした条項の検討が可能となることです。

弁護士は、トラブルが発生してしまってから関与するケースも少なくありません。また、過去の判例や裁判例などから、紛争が起きやすいポイントを熟知しています。

そのため、そのようなポイントから「逆算」し、トラブルを抑止したりトラブル発生時に自社にとって有利な解決をはかったりする契約条項の提案が可能です。

トラブル発生時にスムーズかつ有利な解決がはかりやすくなる

6つ目は、トラブル発生時にスムーズかつ有利な解決をはかりやすくなることです。

契約締結段階から弁護士の関与を受けることで、トラブルの発生を見越した条項を契約書に盛り込むことが可能となります。また、締結段階からサポートを受けた場合には弁護士が契約の背景や状況などを理解しているため、問題が起きた場合の相談もスムーズとなりやすいでしょう。

制作委員会方式の契約に関するサポートはエンタメ弁護士.comにお任せください

制作委員会方式での契約に関するサポートをご希望の際は、エンタメ弁護士.comまでご相談ください。最後に、エンタメ弁護士.comの概要と主な特長を紹介します。

エンタメ弁護士.comとは

エンタメ弁護士.comは、エンタメ法務に特化した専門家チームです。エンタメ業界における困りごとに的確かつスピーディーに対応するため、弁護士・弁理士である伊藤海が発案しました。

伊藤海のほか、弁護士、行政書士、社会保険労務士、司法書士、公認会計士・税理士で構成されています。

エンタメ弁護士.comの主な特長

エンタメ弁護士.comの主な特長は次の3つです。

  • 芸術・カルチャー・エンターテイメントに特化している
  • 必要に応じて弁護士や弁理士、司法書士、行政書士などがチーム制で対応する
  • 英文契約書への対応も可能である

芸術・カルチャー・エンターテイメントに特化している

エンタメ弁護士.comのチームメンバーは、全員が芸能・カルチャー・エンターテインメント業界へのサポートに特化しています。そのため、エンタメ業界に強い専門家を1人ずつ探す必要はありません。

必要に応じて弁護士や弁理士、司法書士、行政書士などがチーム制で対応する

エンタメ弁護士.comは弁護士、弁理士、行政書士、社会保険労務士、司法書士、公認会計士・税理士メンバーから構成されており、困りごとの内容に応じて適切な専門家がサポートします。そのため、どの専門家に相談すべきか分からない案件であったとしても、相談先に迷うことはありません。

また、複数の専門家による連携が必要な事案であっても、スムーズな対応が可能です。

英文契約書への対応も可能である

芸能・エンタメ業界においては、海外の企業や個人と契約を締結すべき場面も多いでしょう。エンタメ弁護士.comは英文の契約書にも対応しているため、安心してお任せいただけます。

まとめ

制作委員会方式でのコンテンツ制作の概要や、制作委員会方式で締結する共同制作契約のポイントなどを解説しました。

制作委員会方式とは、複数の関係者が出資をして民法上の組合である制作委員会を組成し、この制作委員会が中心となってコンテンツの作成を進める方式です。制作委員会の組成やコンテンツ制作、コンテンツの流通などに際しては、さまざまな契約が必要となります。

的確であり、かつ自社の身を守る契約書の作成を実現したい場合には、契約書の作成・レビュー段階から弁護士のサポートを受けるとよいでしょう。

エンタメ弁護士.comは弁護士・弁理士である伊藤海が発案した専門家チームであり、芸能・エンタメ法務を専門とする各士業がクライアント様のビジネスを全力でサポートします。制作委員会方式でのコンテンツ制作にまつわる契約や共同制作契約についてサポートを受けられる弁護士をお探しの際は、エンタメ弁護士.comまでお気軽にお問い合わせください。